***
これは、楽勝そうだなー。
それが本心で、ニヤリと椿の方を見る。
椿もまた、微笑んでいた。
しかし、始まったばかりだ。気は緩めないようにしなければ。
そう考える俺の耳に受話器越しに届く声が少し聞こえる。
どうやら、あの松浦葵と代わるらしい。
あいつのイメージは、腹の底が読めない爽やかくんって感じだけど…。
「…お電話かわりました。松浦です。花房くんですよね?」
「あぁ、うん。」
俺は応える。やはり、彼はニコニコしていそうな爽やかな声をしていた。しかし、次の瞬間、
「…あんまり詩織をからかわないでもらえませんか。」
彼の声のトーンは一気に下がった。その声は冷徹という言葉がよく似合いそうだった。
松浦の言葉に、俺は、こいつ、思った以上にめんどくせーやつだと思う。
「俺、七桜のこと、結構気に入っちゃっててさ。だから嫌。」
挑発混じりで、松浦に笑顔で言う。まぁ、あちらから顔は見えないわけだが。
「あなたの意思なんて聞いていません。詩織は僕のものなんです。あなたなんかに邪魔されたら溜まったもんじゃない。」
「…へぇ。」
なんとなく察した。こいつ多分『ヤベェ奴』。
俺は松浦の次の言葉を待つ。
「…あなたが詩織に近づく理由。なんとなく察しはついてますよ。どうせ、七桜組の情報が欲しいとかでしょう?くだらない。…俺は、この組がどうなろうと実はどうでもいいんです。詩織さえ生きていれば。
だから、俺が知っている限りの情報、教えてもかまいませんよ?」
彼の言うことは図星だった。俺らが欲しているものは『七桜組』の秘密。別にこいつから聞いても問題はないわけだが…。
「さぁ、なんのことだかさっぱり。俺は本気で七桜に惚れたんだ。お前に邪魔されようが知ったことじゃねぇよ。」
と笑った。自分でも、なんでこんなリスクを背負ったのかわからなかった。
そんな俺に松浦は冷ややかに
「…ふぅん。そうですか。じゃあ、せいぜい足掻いてください。俺は俺で頑張りますんで。」
と言い残して、電話はプツリと切れた。
椿の方を見ると、変わらず笑顔で、
「珍しいじゃん。優斗らしくない。」
電話の音声は筒抜けだったらしくそう言った。
…本当にその通りだ。
任務のためなら取捨選択に迷いがないことに定評のある俺が何してんだ?
「…たまにはスリルを求めるのもいいかなって。」
もちろん、そんなの嘘。
「ふぅん。」椿のその言葉はすべてを見透かしているときにでるそれだった。
これは、楽勝そうだなー。
それが本心で、ニヤリと椿の方を見る。
椿もまた、微笑んでいた。
しかし、始まったばかりだ。気は緩めないようにしなければ。
そう考える俺の耳に受話器越しに届く声が少し聞こえる。
どうやら、あの松浦葵と代わるらしい。
あいつのイメージは、腹の底が読めない爽やかくんって感じだけど…。
「…お電話かわりました。松浦です。花房くんですよね?」
「あぁ、うん。」
俺は応える。やはり、彼はニコニコしていそうな爽やかな声をしていた。しかし、次の瞬間、
「…あんまり詩織をからかわないでもらえませんか。」
彼の声のトーンは一気に下がった。その声は冷徹という言葉がよく似合いそうだった。
松浦の言葉に、俺は、こいつ、思った以上にめんどくせーやつだと思う。
「俺、七桜のこと、結構気に入っちゃっててさ。だから嫌。」
挑発混じりで、松浦に笑顔で言う。まぁ、あちらから顔は見えないわけだが。
「あなたの意思なんて聞いていません。詩織は僕のものなんです。あなたなんかに邪魔されたら溜まったもんじゃない。」
「…へぇ。」
なんとなく察した。こいつ多分『ヤベェ奴』。
俺は松浦の次の言葉を待つ。
「…あなたが詩織に近づく理由。なんとなく察しはついてますよ。どうせ、七桜組の情報が欲しいとかでしょう?くだらない。…俺は、この組がどうなろうと実はどうでもいいんです。詩織さえ生きていれば。
だから、俺が知っている限りの情報、教えてもかまいませんよ?」
彼の言うことは図星だった。俺らが欲しているものは『七桜組』の秘密。別にこいつから聞いても問題はないわけだが…。
「さぁ、なんのことだかさっぱり。俺は本気で七桜に惚れたんだ。お前に邪魔されようが知ったことじゃねぇよ。」
と笑った。自分でも、なんでこんなリスクを背負ったのかわからなかった。
そんな俺に松浦は冷ややかに
「…ふぅん。そうですか。じゃあ、せいぜい足掻いてください。俺は俺で頑張りますんで。」
と言い残して、電話はプツリと切れた。
椿の方を見ると、変わらず笑顔で、
「珍しいじゃん。優斗らしくない。」
電話の音声は筒抜けだったらしくそう言った。
…本当にその通りだ。
任務のためなら取捨選択に迷いがないことに定評のある俺が何してんだ?
「…たまにはスリルを求めるのもいいかなって。」
もちろん、そんなの嘘。
「ふぅん。」椿のその言葉はすべてを見透かしているときにでるそれだった。