彼はカメラから視線を上げると机の上で手を合わせた。


「サークルに入ってくれるのは全然嬉しいよ。正直頻繁に活動してくれるメンバー少ないからさ」

「でも一応大学公認のサークルなんですよね」

「ほとんどが幽霊部員みたいなものだから。コンクールがあるときだけ集まったりしてさ。結構個人での活動が多いかな。コンクールで成績残せているから公認してもらえてるって感じ」

「そうなんですか……」

「俺なんかはもう講義なくて暇だから結構頻繁に顔出したりしてるんだけどな。あと一人活動してくれてるやつがいて……」


すると榊さんは会話を途中でやめ、部屋の入口に目を向ける。


「って話してたら来たみたいだな」

「……」


扉の向こうからコツコツと足音が聞こえる。それが止まると今度は扉が手前に開いた。


「お疲れさまで……」


そう言って部屋の中に入ってきたのが見覚えのある女の子だった。
彼女は部室に居座っている僕を見るなり、戸惑いの表情を浮かべた。

あれ、この子……