「とりあえず挨拶。俺は写真サークルの代表の榊です。今は四回生」

「え、代表?」


まさか最初にあったサークルの人が代表とは思っていなかった。
榊さんは自分の顎に手を置くと品定めをするかのようにこちらを凝視した。


「あ、荒木麗です。今は二回生です」

「どうしてサークルに入ろうと思ったか聞いてもいい?」

「最近カメラを持ち始めたので勉強したくて」

「ふーん、今持ってる?」


彼の言葉に鞄の中から祖父の一眼レフを取り出し、机の上に見せる。
すると榊さんは「随分古いカメラだね」と目を光らせた。


「亡くなった祖父が使っていたので。新しいカメラの方がいいですか?」

「いや、長持ちなのは良いことだし、それに古い型だとそれはそれで味がある写真が撮れたりするよ」


いいね、と呟いた彼に安堵する。それにしてもこの人、初対面だけど話しやすい空気があるな。
人見知りな性格からかあまり人と直ぐに仲良くできることは少ないのだが、榊さんとは壁を感じることなく会話ができているような気がする。