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時間を巻き起こすことが出来たら、僕はあの写真に出会う前に戻りたい。
自分自身でカメラに目覚めて、一回生のときに写真サークルに入れていたら。そうしたら瀬川さんのことを助けられたのかもしれない。

彼女に「辞めたい」なんて言わせずに済んだのかもしれない。

彼女に言われたことを気にしてか、冬休みが過ぎたあともサークルに脚が向くことはなくなり、そうこうしているうちに試験期間に入ってしまった。
もしサークルで彼女に出会ったら何を言えばいいか、何を言えば許してもらえるのか分からず、自然と瀬川さんのことを避けることが増えた。


「最近サークル行ってるところ見たことないけど、辞めたのか?」

「辞めたってわけじゃないけど……」

「まあこの時期って忙しいもんな。四回生も卒業だし」

「……」


友人二人はそう心配してくれたが、そのことに関しても僕から言えることは何もなかった。
そういって立ち止まっている間にも時間は流れ、榊さんたち四回生の学生は大学を卒業していった。

それから、新年度になり写真サークルは新しい部員を集めきれず、大学が推奨するサークル人数に達しなかったことで大学公認のサークルではなくなり、部室を失うことになった。

それでも僕はサークルに脚を運ぶことはなくて、瀬川さんともう一度話す勇気も出ず、気付けば大学を卒業する年になっていた。

そして、結局最後まで僕と瀬川さんの間には会話はなく、大学を卒業して三年が経とうとしていた。