SNSに投稿している写真だってそうだった。初めて見た時からずっと、あの写真と撮り方が似ているって思っていた。


『去年のコンクールの直前、天のカメラのSDカードが一枚消えたんだ』

『部室でPCで作業している時、少し席を外した間に誰かが盗んだ。だけどコンクールでは彼女が撮影した写真が知らないうちに応募されてて、そして賞を獲った』

『彼女の名前じゃない、違う人の名前で』


どういう気持ちでカメラを手にしていたんだろう。シャッターを押す度にその時のことを考えなかったのか?
今まで見てきた、人見知りだけど優しいところ、撮影に向き合う真剣なまなざし、少しへたくそな笑い方。

だけどその裏側に隠されていた影の部分は何も知らない。


『それを知っても天は何も言わなかった。言えなかったんだ。そういう子だから』

『……』

『でも本当は、あの写真は天の……』


天の大事な友達の写真だから。

榊さんの話を聞いた後、僕はらしくもなく部室を飛び出して走った。