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一年前、滑り止めだった大学に進学することになり、何処か満たされない日々を過ごしていた。
浪人しない選択を選んだのは自分だったが、本当のこの道で合っていたのか。そんな悩みを抱えて通っているからか、大学の授業もあまり面白く感じない。
あと三年半、何を思って日々を過ごそうかと考えていた。
あの写真と出会ったのはそんなときだった。
「(綺麗だ……)」
心の底からそう思えたのは初めてだった。
夕焼けの赤も、霞む空気も、全てが綺麗に見えた。被写体である女性でさえも景色の一部と化しているように、その写真には世界の全てが構成されていた。
何よりもその女性が、世界で一番愛おしいものを見つめるような瞳でこちらを見ていたから。彼女の瞳に映る人は、こんな綺麗な写真を撮影できる女性はきっと中身も綺麗な人なんだって。
そして何故だか、その人を知ってる気がした。
名前は違うけれど、これを撮影した人がこの人だったら……そう思うことが何度もあった。
話したことは一度もない。目が合ったことも、彼女の視界にだって入ったことはないだろう。
だけど一目見た時から何処か自分と同じものを持っているような気がして、いつの間にか目が離せなくなっていた。
そしてサークルで初めて話して、彼女の性格や声を知って、尚更あの写真を撮影したのがこの人だったらと強く思った。