その日、年内最後の活動になるだろうとサークルを訪れていた。


「え、登山ですか? この季節に?」

「そう、ちょっと遠出してな。友達に登山ガチ勢がいたからソイツに色々教えてもらって」


榊さんはそう言いながら自身のPCでスライドショーのようにしてその時撮影した写真を見せてくれる。
登山途中から見られる山の景色から友人に撮ってもらっただろう榊さんが映ったものまで。

きっと榊さんは瀬川さんのように映えた写真を撮ろうとは意識的には思っていないタイプなのだろう。


「そんなことより卒論大丈夫なんですか? 来月提出なんでしょう」

「俺のこと心配してくれるのか? 優しいな、天は」

「はぁ、都合の良いところだけ受け取らないでください」


相変わらず部室には三人しかいないが、来年になれば榊さんは卒業して頻繁に通うのも二人になるだろう。
というか今の四回生が抜けたらその分だけサークルのメンバーが少なくなる。となれば春になれば新しくメンバーを入れないと大学の公認も保っていられなくなるだろう。