「ばあちゃんが、折角写真撮ってるんだからカードにしたらどうかって」

「ふーん、それは楽しみだな」

「まあ正月より先にクリスマスだけどな」


武文の言葉を聞いて「そうだけど」と視線を下げる。
するとテーブルの上に大きな影が出来、ハッと後ろを振り向いた。


背後に立っていたその人は座っている僕たちを見下げてにこりと微笑みを落とした。


「やっほ、荒木くん」

「榊さん、どうしてここに」

「ちょっと時間が空いたから遠出をね。ここのカフェのパン美味しいって聞いたから卒業する前に食べておきたくてさ」


法学部の榊さんは普段はここから離れた校舎に通っているはずだ。そんな彼がここにいることに驚いていたが、僕以上に驚いていたのは友人二人だった。


「お、友達? どーも、荒木くんと同じサークルの榊結です。いつも麗くんと仲良くしてくれてありがとうね~」

「なんで保護者みたいなこと言うんですか。というか重たいんですけど」

「ここ最近卒論で忙しくてなかなかサークルに顔を出せてなかったからな~。俺に会えなくて寂しかっただろう」


両肩に手を置き、体重を掛けてくる榊さんのせいで武文と秋生がぽかんと口を開けたまま止まってしまっている。
確かにいきなりこんなに顔の整ったテンションの高い人が話し掛けてきたら誰でも硬直してしまう。もし榊さんと知り合いじゃなかったらきっと自分もこうなっていた。


「天に聞いたよ、クリスマスパーティー参加しないんだよな。年内にサークルに顔を出すつもりではいる?」

「は、はい。中間試験が終わったら」

「分かった。楽しみにしてる」