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それからまた時間が経って、季節は変わり12月。
徐々に撮影のコツを掴み、撮ることに楽しみを見出し始めたため、写真を撮る為だけに休日に一人で出掛けることも増えた。
榊さんに教えてもらったSNSはまだ始められていないけれど、脚が弱くて遠出が出来ない祖母に撮ってきた写真を見せた時の笑顔を見ているだけで自分の中の承認欲求は満たされた。
きっと自分を誰かに見せる為に写真を撮っているんじゃないんだろう。
「あ、」
師走になり、構内のイルミネーションが煌びやかに夜を彩り始めた頃。
一人学部のエレベーターに乗ろうとボタンを押すと、開いた扉の向こうに瀬川さんの姿があった。
「一階?」
「う、うん」
「……」
エレベーターに入ると他に人がいなかったせいか、狭い個室の中に彼女と二人きりになる。
12月に入ると年末の挨拶もあるのか、所謂幽霊部員と呼ばれる人たちが榊さんに挨拶をしに来たため、漸く他のサークルの人とも会話をすることが出来た。
それなのに、瀬川さんとは二人になると急に会話がなくなる。
「(苦手ってわけじゃない……むしろもっと瀬川さんのことを知られたら……)」