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写真サークルに一ヵ月が経った。毎日とは言えないけど一週間のうち二日はサークルに顔を出すようにしている。
まだ榊さんと瀬川さんと竹中くん以外のサークルのメンバーを見たことがない。この間構内で初めて竹中くんに声を掛けてもらえた。工学部らしい。
思っていた感じとは違うけれど、学部外にも人脈が広がったことは密かに嬉しい。
「天~、席取っておいたよ~!」
教室に響き渡った高い声に顔を上げると、扉を開けて中に入ってきた瀬川さんが目に止まる。
次の講義は一緒なのか、と眺めていると瀬川さんは先に席に座っているこちらに視線もくれず、後ろの方に座っている友人たちの方へと歩いていく。
自然と彼女が席に座るまでの流れを目で追っていると、隣から肩を突かれた。
「おい、大丈夫か。ぼーっとして」
「え?」
「さっきから名前呼んでたんだけど聞こえてなかったのか?」
武文と秋生の二人に話しかけられ一人我に返る。あぁ、今のは無意識だった。
無意識だった?
「(いや、でも瀬川さんのことは前から……)」
知っていた、そんな気がする。