確かに榊さんと付き合っているのが本当だとしたら、いきなりサークルに入ってこられていい迷惑だっただろうし、単純に嫌われているんだろうな。


「えっと、じゃあ僕は向こうで……」

「か、カメラをさ」

「はい?」

「っ……もっと、目から外して」


こう、と彼女は自分が持っていた一眼レフのレンズを地面に向けた。
真似しろということなのだろうか。彼女と同じようにカメラを持つとその状態でシャッターを切った。

撮影されたものを確認するとそこには自分が思っていたアングルで花が映っていた。


「慣れたら上手いことピントも合うようになると思う」

「うん、分かった」

「あと、連射しないで一枚一枚確認した方がいいと思う。静止画なら尚更」

「……」


きっとアドバイスをくれたのだろう。彼女の言葉に頷くと、瀬川さんはハッとした顔で急に口を閉じた。


「ごめん、余計なお世話だったかも……」

「いや、全然。というか瀬川さんに話しかけられたことに吃驚して」

「……」


勝手に嫌われているものだと思っていた。互いの間に沈黙が流れ出し、このままここにいたら彼女にまた気を遣わせてしまうのでないかと思い、その場を離れようとする。
しかしまた瀬川さんの「あの、」という言葉に引き止められた。