とりあえず適当に撮影したものを後で見せてくれ、と榊さんに頼まれ公園内を一人で散策していると、


「あ、」


行く先に瀬川さんの姿を見つけて立ち止まる。するとこちらを振り返った彼女と目が合い、軽く会釈すると瀬川さんも瞬きをしたのち頷いてくれた。
どうやら嫌われているわけではなさそうだけど……

というか、


「(さっきから行く場所、全部被ってる……)」


なんで行く先々に全部瀬川さんがいるんだろう。その度に気まずい空気が流れてしまう。
しかも後から僕が着くことが多いから、これってもしかしてストーカーだって思われていたりして。

足元に生えている小さな白い花に視線を向ける。そっとカメラを寄せてレンズを覗き込んだ。
空は晴れというわけでもなく曇天。だからか何度撮影しても自分の理想通りにはなかなかならない。

一度戻って榊さんに話を聞くべきだろうか。
うーんと悩まげに身体を起こすと横から強い視線を感じる。顔を向けてみれば瀬川さんがこちらを鋭い視線で凝視していた。

え、何なんだろう。


「何か?」

「え、」


こっちを見ていた癖に話しかけると途端に彼女は焦ったように目線を四方八方に散らした。
もしかして話しかけてほしくなかったのだろうか。