私は笑う。
 何故と聞かれたら、嬉しいから。
 私の大好きなリュウが強くなるために頑張り始めたから。
 私はリュウが小さい頃から知っている。

 初めて会った時、リュウの友達が国のために遊べなくなったらしい。
 だから私が代わりに遊んであげた。
 私は普通の人間の女の子のふりをして一緒に遊んであげた。

 私も楽しかった。
 こんな風に遊ぶのはどのぐらい昔の事だったろうか?
 とにかく、夕方になるまで遊び続けた。

 ある日の事、リュウも力が欲しいと言い出した。
 なんでも友達だった勇者が大怪我をしたらしい。
 魔法使いの友達だった子や騎士団の大人達が頑張って、どうにか死だけは回避出来たそうだ。
 それをきっかけにリュウも力を欲しいと、言うようになった。
 自分だけ町で親を手伝うだけではなく、その友達だった子達のためにも強くなりたいと、言った。

 リュウは、泣きそうな顔をしながら言った。
 でもリュウの適性職業は『調教師』、たとえ強い獣を従えたとしても、魔物相手では一瞬しか時間を稼ぐ事しか出来ないだろう。

 だから私は一つの提案をした。
 私がリュウの『従魔』になると。

 リュウは私が人間で無い事に驚いたが、すぐ受け入れてくれてまた嬉しくなった。
 その後私と契約することでどんな力が手に入れるかと、どんなリスクがあるか言った。
 もちろんリスクは事細かに伝えた。
 下手をすればリュウの体と魂は保たない。
 だから出来れば諦めて欲しかった。でもリュウは諦めてくれなかった。

 正直不安だった。だからリュウが契約を成功させた時は驚いた。
 私の魔力を狙ってさまざまな人間が契約に来たが、皆私の魔力に耐えきれず死んだ。成功しても狂ったり壊れたりした。

 でもリュウは成功しても狂ったり壊れたりしなかった。私の魔力で熱が出やすくなったが、問題と言うほどの問題は出てこなかった。

 流石にリュウの魂が気になって調べたら驚いた。
 リュウの魂はとても大きく力強く輝いていた。
 長い時間生きてきたがこれほど強い魂は初めて見た。
 そして確信した。
 リュウは勇者より強く、大きくなると。

 リュウ、貴方はきっと私より凄い存在になるよ。
 だから頑張って、フェンリルのおじ様は少しずつ強くなったからきっと良い目標になるよ。
 私もいざという時は助けてあげるね。
 だから頑張って下さい。応援してます。