「 はーい、入って良いですよ〜。」
と、実は校長先生は女性の先生で見た目は校長先生というよりも近所の優しいおばあちゃんだ。だから、怖いイメージはないけど…目だけは違う。見ている相手の心まで読みとっているのではないかというぐらい力強く透き通った目をしている。だから、もの凄く緊張する。でも、嫌いじゃない。
「 失礼します!一年五組の青木 結奈です!聞いて頂きたい話があり、来ました!」
と、自分でも驚きなぐらいの体育会系女子みたいな声で言った。
「 そう。で、どうしますか?やりますか?やめますか?魔女の仕事。」
「 やらせて欲しいです!」
と、また大きな声で言ったが私なりに目を見てしっかり言った。そしたら、それに答えるように力強い目つきで見られた。私は、ドキッとなり喉の中が枯れていくような感覚になり、声が出なくなり、パニック状態になっていると
「 なぜ、やりたいのですか?」
と、聞かれた。私は、答えなければと手を握りしめて
「 私は、日々が日常が楽しくない訳ではありません。ですが、魔女の話を聞いて、人の役に立つ事を今までにして来なかったから、やってみたいと思ったんです。でも、私は、人を見て、『あっ、この人、困っているんだろうな~。だから、助けよう!』と、分かるような勘の鋭い人間では、ありません。だから、助けを求めている人しか助けません。それでも、良いですか?」
と、田口校長先生の目を離さずに言った。
「 そう。私の目に間違いはなかったようね。じゃあ、あなたを正式に、この学校の魔女として任命します。頼んだわよ、ゆー坊。」
と、まるでよく本とかドラマとか出てくるようなカッコ良いおばあちゃんみたいな笑みをしていた。私は、その期待に応えたいと思った。
「 はい!あの〜、ゆー坊って何ですか?」
と、質問した。すると
「 あーねあーね!今、頭の上から降ってきた、弟子のあだ名よ!良いでしょー!気にいった!?」
と、校長先生というよりも、お姉ちゃん?みたいな感じで聞かれた。だから、私も
「 もうー何でも良いですよー。と言うよりも、いつ私が先生の弟子になったんですかー?」
「 え?さっき。だから、先生だなんて呼ばないでよ〜。堅苦しい〜。」
と、言われた。
「 じゃあ、何て呼べば良いんですか?」
「 師匠!師匠が良い!あと、敬語も無し!」
「 えっ!?何、言ってるんですか!?それは、さすがにちょっと…」
「 だってさ〜、私、目つき悪いし、怖いイメージあるでしょ?」
「 はい。」
「 いやいや!ちょっとは否定して!」
「 あっ!すみません!」
と、慌てて謝った。だって、あまりにも衝撃だった。自分でも、気付いているのだと思った。それに、本当の事すぎて普通に答えてしまっていた。
「 だから、自分を変えたいのよね〜。少しでも。」
と、どこか寂しいそうに私には見えないであろう、見る事ができないであろう、先生いや、師匠自身の世界を見ていた気がする。だから
「 し、師匠。大丈夫で、いや…大丈夫だよ。師匠は、目つきが悪い訳ではないよ。確かに、怖いイメージは無いようにあるけど、それは、師匠自身の最高の武器でしょ?それに、私は師匠の目、好きだよ?それに、そのオーラも。カッコ良い女の人って感じで。」
と、私らしくない言葉で言った。少し照れていたのかもしれない。最後は、目を逸らして窓の外を見ていた。すると
「 フッ、さすが、あたしの弟子だな〜。これから、期待してるわよ!ゆー坊。今日は、早く帰りな!明日の放課後に屋上においで。魔女の仕事について説明するから。あと、教師以外には言ったらダメよ!ゆー坊が、魔女って事は、あたしと教師達しか知らないんだからね!」
「 はーい。じゃあ、明日の放課後に。師匠。」
「 おう!弟子よ!」
と、言われた。私は、この人の事は好きだな〜と思った。そして、帰り道にある並木道に生えている木を見ながら今日は、最高の一日だな〜と思った。