ロウソクの炎の下で春樹は式神を作っていた。


今回の事件で大量の式神を使ってしまったから、また作り直しだ。


丁寧に切りぬいた人形の和紙に自分の息を吹きかける。


消して負の力は与えない。


与えるのは自分に忠実に、そして人々の役にたつような力のみだ。


そうして何体目かの式神を作った時だった。


タッタッタとリズミカルに近づいてきた。


床でダンスを踊っていた式神たちが、その音に気がついてパタパタと床に倒れていく。


春樹は倒れた式神を拾い集めて自分の傍らに置いた。


式神たちはひと目に触れそうになると紙のふりをする。


それは春樹が教えたわけじゃないけれど、自然とそうするようになっていた。


春樹が使役をしたときだけ、人前でも動き出すのだ。


ちゃんと自分たちの役目を分かっているという証拠かもしれない。


そうこうしている内に玄関戸が大きく開け放たれた。


春樹は冷めた目つきでそちらを見つめる。