春樹が呟いた瞬間、燃え盛る式神が飛び跳ね、鬼めがけて突っ込んだ!


「ぐおおおおおお!」


鬼は先ほどとは違い悲痛な声を上げて炎に包まれる。


辺りがパッと明るくなり、幸祐は思わず目を閉じた。


次に目を開けた時には式神も鬼も、そして亜乱の姿もなくなっていた。


ただ白い煙が充満している。


「お、おい……どうなったんだ?」


立ちつくしている春樹の背中に恐る恐る声をかける。


「煙を焚いて逃げられた」


春樹は苦々しい声でそう言うと、地面に落ちている焦げた式神を取り上げたのだった。