その絵には亜乱の負の力が込められていて、一瞬にして絵から本物の鬼が出現する。


空中で2つの使役がぶつかりあう。


その衝撃はすさまじく、突風が巻き起こり幸祐は近くの木にしがみついた。


2人は足を大きく広げ、重心を低く保ってその場にとどまっている。


その右手は使役した式神と鬼の力が弱くならないよう、印が刻まれている。


と、その時だった。


鬼が「ぐおおおおおお!」と大きな雄たけびを上げて式神を押し始めた。


押された式神はずずっ……と後退する。


「行け、我が鬼よ!」


亜乱が興奮したように叫ぶ。


その目はギラギラと輝き、口元には笑みが浮かんでいる。


春樹が一瞬奥歯を噛みしめたのがわかった。


どこか苦しそうに眉間にシワがよる。


「は、春樹! がんばれ!!」


幸祐は思わず声をあげた。