「やっぱりお前か」
春樹は男を睨みつけて言う。
「なんのことでしょう?」
男は小首をかしげる。
「とぼけるな」
春樹がそう言い小屋の中を指さす。
そこにはさきほど遊郭から逃げた大黒天の姿があった。
建物よりも大きかった体は今はすっかり小さくなり、怯えた目をこちらへ向けている。
「あぁ。あれは私の大切なあやかしです。先程やけに怯えて戻ってきたのですが、春樹君の仕業ですか?」
「なにが大切なあやかしだ。あれは人の自我を奪って自分の私服を肥やす化け物だ。お前、あそこの楼主に嘘を吹き込んであやかしの絵を買わせたな」
「嘘だなんてとんでもない。あの楼主はなにもかもわかっていて買ったんですよ。楼主のあの姿、ご覧になったんじゃないですか? 大黒天とそっくりでしたでしょう」
男はそう言うと口元に手を当ててカラカラと笑った。
その笑い声は山の中に響き渡って、幸祐はメマイを覚える。
春樹は男を睨みつけて言う。
「なんのことでしょう?」
男は小首をかしげる。
「とぼけるな」
春樹がそう言い小屋の中を指さす。
そこにはさきほど遊郭から逃げた大黒天の姿があった。
建物よりも大きかった体は今はすっかり小さくなり、怯えた目をこちらへ向けている。
「あぁ。あれは私の大切なあやかしです。先程やけに怯えて戻ってきたのですが、春樹君の仕業ですか?」
「なにが大切なあやかしだ。あれは人の自我を奪って自分の私服を肥やす化け物だ。お前、あそこの楼主に嘘を吹き込んであやかしの絵を買わせたな」
「嘘だなんてとんでもない。あの楼主はなにもかもわかっていて買ったんですよ。楼主のあの姿、ご覧になったんじゃないですか? 大黒天とそっくりでしたでしょう」
男はそう言うと口元に手を当ててカラカラと笑った。
その笑い声は山の中に響き渡って、幸祐はメマイを覚える。