徐々に客を紹介するようになり、今では自分のことを春樹の相方だと自負している。


春樹がどう思っているかはわからないが、幼いころから生きることだけで精いっぱいだった幸祐にとっては初めてできた友達だった。


「へへっ。少しくらいいいじゃねぇか」


幸祐は頭をかきながらそう云い、春樹の後ろに立つ。


その時だった。


今まで静かだった小屋の戸が突然開かれて中から男が出てきたのだ。


年齢は春樹と同じ20歳前後。


恐ろしいほどの整った顔立ちをしていて、髪も肌も真っ白だ。


おまけに着物も真っ白で、まるで死人のようだ。


白い顔に浮かぶようにして赤い目がこちらを見据えている。


幸祐はゴクリと唾をのみ込み、後ずさりをしてしまった。


春樹が結界を破ってくれたおかげで空気が柔らかくなったと感じたけれど、その空気が一瞬にして凍りついたのがわかる。


「おや、春樹君じゃないですか」


白い男が真っ赤な舌を覗かせて笑う。


まるで白蛇だと幸祐は思った。