突然幸祐の体が吹き飛ばされて倒れ込んだのだ。


「いってぇ……!!」


叫びながら幸祐はなにが起こったのは理解できていないようで、キョロキョロと周囲を見回している。


春樹は呆れたような溜息を吐き出すと「式神が死んでいるのに、どうしてそう不用心に近づくんだ」と、幸祐を見下ろす。


「なんだよそれ、どういう意味だよ」


「この小屋には人も式神も寄せ付けないように結界が張られている。そのくらいわかれ」


冷たく言われて、幸祐はどうにか自分の力で立ちあがった。


「結界って?」


「小屋に入れないように札なんかを張るんだ。能力者なら札を使う必要もない、簡単なものだ」


春樹は説明しながら一歩小屋へ近づく。


次の瞬間、右手を素早く動かすとそれだけで周りの空気がふっと軽くなるのを感じた。


「これで入れる」


何事もなかったかのようにそう言い、小屋に近づく春樹。


「い、今のは?」


おろおろしながら春樹の後ろを追いかけて聞く幸祐。