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それから2人は遊郭の近くで見はることにした。


時々出入りする客や遊郭で働く男たちである若い衆、遊女候補である禿(かむろ)などを見てもみんなさきほどの遊女たちと同じような有様で、まるで生気が感じられない。


「な、おかしいだろ?」


幸祐の言葉に春樹は頷くしかなかった。


人間が集団で妙なことになってしまう原因はいくつか考えられる。


1つは薬物。


2つ目は集団幻覚。


そして3つ目が、あやかしの仕業だ。


出入りしている客までが同じ状態になっているので集団幻覚というは考えにくい。


となると、あとは残る2つだ。


しかし、薬物を客にまで投与していたとなるとさすがに国がほっておかないだろう。


となると、考えられる原因はあと1つだ。


「行くぞ」


春樹は突然歩き出す。


「え、どこに?」


「ここの楼主に会いに行く」


幸祐は慌てて春樹の後を追いかけたのだった。