「本当に、好みが渋いよね」 「そうかしら? だって今の歌しらないし……」 「エッ、どういうこと?」 私が訝しげに聞くと、 「アナタ、昭和三十三年生まれの、戌年でしょう?」 女の子が慌てて話題を変えた。 「どうして、わかるんだよ?」 「だって同い年だもん」と女の子が言った。