平静さを取り戻してきた私は、車を発車させた後、しばらく若い女と世間話をした。 「キミは随分若いのに、『ローリング・ストーンズ』が好きなんて、珍しいンじゃない?」 「ワタシは六十年代の音楽が好きなの」 「例えば、どういうの?」 「そうね、『ビートルズ』でしょう、『クラプトン』でしょう、それと『ボブ・ディラン』なんかも好きね」