「ギヤアアアアーーーー」と私は心で叫んだ。

「この曲さぁ、何か、場末感があって、本当にいいよね」と女が話す。

 私は我慢できずに、車を急停止し、後ろを振り返った。後部座席に、あどけない顔をした女の子が座っている。年の頃で言うと、二十代前半くらいだろう。

「キキキ、キ、キミは、ダダダ、ダレなンだ?」と私は叫んだ。

「そんなに驚かなくても、いいじゃない」と若い女が、逆に驚いたように目を丸くしている。

「驚くに決まっているだろう」