「ヤスオ君、笑うなんて酷い、私は大学卒業してすぐに病気で死んでしまったけど、ヤスオ君に貸したお金のことが忘れられなくて、ずっとヤスオ君の事思い続けていたのに……」

 女が少しムキになって言った。

「ゴメンゴメン、笑うつもりじゃなかったんだけれど……、だって普通、幽霊が出て来る動機って、もっとドロドロしているものと思ったから、以外過ぎて……」

 私が言い訳のように話すと、女の表情も和んだ。

「わかったよ、オレは本当にヤスオ君ではないけれど、キミが安らかに成仏できるんだったら、三万はオレがヤスオ君に成り代わって払ってあげるよ」