氷メガネの車の中で、あたしとお母さんの貴和子(きわこ)さんは、信じれらないくらい意気投合した。

運転している氷メガネが途中で何回も「いい加減にしろ!」と怒るくらい…。

「それにしても、尚美さん。アンタって気持ちのいい子ね。あたしも言いたい事言えてスッキリしたわー!」

「お母さん、どこからどう見てもセレブでしたけどね」

あたしが笑いながら言うと、お母さんも笑いながら言った。

「普通の家で育ったのよ、あたし。たまたまね、こっちの短大に進学して、アルバイト先で、主人に出会ったの。出会ったっていうか…補導されちゃったって感じ?」

補導…!?
補導って…読んで字のごとく捕まっちゃうってやつ、だよね?

「補導って…捕まったんですか?」

「逮捕まではされてないわよ。アルバイト先でお酒をちょっと飲んじゃったら、あたし、どーも酒グセ悪いみたいでね?騒いでたら巡回中の警察の人につかまっちゃって。なんせまだ、未成年だったから。そしたらその時の警察のけっこうエライ人が主人でさ。見初められたのよ~」

いわゆるキャリアってやつかな?
詳しい事はよくわかんないけど。

お母さんは続けた。