*
「アップルパイ、美味しいって言ってたよ。よかったね」
ある日の営業中。
洗い場で片付けていると、客席から下げてきた食器を持ってきた井浦さんが教えてくれた。
「うわぁ……私、ちゃんと仕事した!」
「もう充分仕事してるよ。……あとは、どうなるかな」
「え? なに?」
聞き取れなくて、呟いた井浦さんにもう一度問うと、「何でもない」といってはぐらかされてしまった。
「そういえば田辺さん、新しい店舗のヘルプに行ってるんだっけ?」
「うん。確か夕方ごろに終わるから、その後ここに寄るって言ってたような……」
「そっか……」
「井浦さん?」
「……ううん、なんでもない。あ、やばっ!」
洗い場の外から、井浦さんを呼ぶ声が聞こえて、慌てて出ていく。
あんなに田辺さんを気にかけている井浦さんを初めて見て違和感を覚えたものの、その後から店が混んできてすっかり忘れてしまった。
しかしその日の夕方どころか、閉店時間が過ぎても、田辺さんは店に来なかった。
「アップルパイ、美味しいって言ってたよ。よかったね」
ある日の営業中。
洗い場で片付けていると、客席から下げてきた食器を持ってきた井浦さんが教えてくれた。
「うわぁ……私、ちゃんと仕事した!」
「もう充分仕事してるよ。……あとは、どうなるかな」
「え? なに?」
聞き取れなくて、呟いた井浦さんにもう一度問うと、「何でもない」といってはぐらかされてしまった。
「そういえば田辺さん、新しい店舗のヘルプに行ってるんだっけ?」
「うん。確か夕方ごろに終わるから、その後ここに寄るって言ってたような……」
「そっか……」
「井浦さん?」
「……ううん、なんでもない。あ、やばっ!」
洗い場の外から、井浦さんを呼ぶ声が聞こえて、慌てて出ていく。
あんなに田辺さんを気にかけている井浦さんを初めて見て違和感を覚えたものの、その後から店が混んできてすっかり忘れてしまった。
しかしその日の夕方どころか、閉店時間が過ぎても、田辺さんは店に来なかった。