「お助けスキル…そうか!まだこれがあった!」
時間がない。手遅れになる前に…とウォリーは急いで頭の中でお助けマンを起動させ、お助けスキルを選択する。
≪回復マン≫
≪対象に手を触れた状態で回復マンと唱えると対象を回復させる事が出来る。取得の為に必要なお助けポイント:35000ポイント≫
先程2人の商人のうち片方を助けた事でポイントが増え、今のポイント残高は80900。スキル取得には十分足りる。
ウォリーは迷う事なくポイントを支払った。
「回復マン!!」
重体の商人の身体に触れてウォリーが唱えると、あれ程深かった傷がみるみるうちに治っていく。
その回復力にウォリー自身も驚いた。彼が治癒師だった頃でさえ、これほどの効果を持つ回復魔法を出せただろうか。
「ウォリー!何をした!?こんな魔法が使えたのか!?」
ダーシャも驚きの声を上げる。
回復された男が目を開けると、男の父親は彼に抱きつきウォリー達に何度も礼を言った。
「みんな聞いてくれ!盗賊のアジトがわかったぞ!」
ウォリー達が調査から帰り他の冒険者と情報を交換し合っていると、村長のシドがそう言って飛び込んできた。
「さっき偶然森の中で奴らを見かけたんだ。後を追ってみたら…」
シドはテーブルに村周辺の地図を広げる。そして、森の中のある箇所を指差した。
「ここだ。あいつらはここに潜伏してる」
冒険者達の目が一斉に地図に注がれた。
「なるほど。良く見つけたな…」
「どうやって攻め込む?」
「まず先に誰か偵察に行った方がいいのでは?」
「時間帯は…」
彼らがそう話し合っているところに、シドが口を挟んだ。
「待ってくれ。それだけじゃないんだ。奴らの話し声を少しだけ盗み聞きする事が出来たんだ。奴らは昼頃の13時に就寝する者が多いらしい。だからその時間に攻め込めば寝込みを襲える」
さらにシドはペンを取り出して地図に線を引いた。
「俺はここの村に長く住んでいるからな、この辺りの地形は熟知している。このルートで行けば、奴らに気付かれにくくアジトに接近する事が出来る」
冒険者達はシドの助言を頼りにしばらく話合った後、明日にアジトへ攻め込む事が決定された。
翌日の昼。ウォリーやダーシャを含める冒険者達はアジトを目指して森の中を進んでいた。
事前に向かわせた偵察からの情報では、確かにそこに盗賊達が居るという事で間違いないようだった。
アジトが近づいてくるにつれて、冒険者達の足はゆっくりになる。
こちらの気配に気付かれないように、足音を立てずに慎重に前へ進んでいく。
彼らの手にはシドが進行ルートを書いた地図が握られている。そのルート通り、正確に彼らは進んでいった。
ヴォン…
突然妙な音が鳴ったかと思うと、冒険者達の足元に巨大な魔法陣が出現した。彼らがそれに反応する間もなく、その場の全員の身体に強烈な電流が走った。
バタバタとその場に倒れていく冒険者達…
それを囲うように周囲から盗賊達が集まってきた。
ウォリーが目を覚ますと、冷たい岩に囲まれた場所に居た。どうやら洞窟の中のようだった。
目の前には巨大な鉄格子があり、外に出られないようになっている。見ればダーシャを含め他の冒険者達も一緒に閉じ込められている様だった。
ウォリーは鉄格子の扉を掴んでガシャガシャと強引に揺らしてみる。
「ウォリー、無駄だ。鉄格子に魔術がかけられて強化されている。私達が攻撃しても壊れなかった」
ダーシャが彼の背後から声をかけた。
他の冒険者達もうなだれている。どうやら既にあれこれ手を尽くした後のようだった。
「はははは!実に間抜けな冒険者達だ!」
鉄格子の向こう側から笑い声が聞こえたかと思うと、影の中から盗賊の1人が姿を現した。
「お前らあんな都合の良い情報を鵜呑みにするなんて、どうかしてるぜ」
盗賊はにやにやと冒険者ひとりひとりを見回しながらそう言った。
「どういう事だ?」
ウォリーの問いに、盗賊は大きく溜息を吐いた。
「どうせお前らはここで終わりだから教えてやるよ。あのシドっていう村長がお前らが来る時刻とルートをこっちに流してくれたのさ。お前らはあいつに裏切られたんだよ」
盗賊はそう言い捨てると、高笑いをしながら闇の奥へ消えていった。
時間がない。手遅れになる前に…とウォリーは急いで頭の中でお助けマンを起動させ、お助けスキルを選択する。
≪回復マン≫
≪対象に手を触れた状態で回復マンと唱えると対象を回復させる事が出来る。取得の為に必要なお助けポイント:35000ポイント≫
先程2人の商人のうち片方を助けた事でポイントが増え、今のポイント残高は80900。スキル取得には十分足りる。
ウォリーは迷う事なくポイントを支払った。
「回復マン!!」
重体の商人の身体に触れてウォリーが唱えると、あれ程深かった傷がみるみるうちに治っていく。
その回復力にウォリー自身も驚いた。彼が治癒師だった頃でさえ、これほどの効果を持つ回復魔法を出せただろうか。
「ウォリー!何をした!?こんな魔法が使えたのか!?」
ダーシャも驚きの声を上げる。
回復された男が目を開けると、男の父親は彼に抱きつきウォリー達に何度も礼を言った。
「みんな聞いてくれ!盗賊のアジトがわかったぞ!」
ウォリー達が調査から帰り他の冒険者と情報を交換し合っていると、村長のシドがそう言って飛び込んできた。
「さっき偶然森の中で奴らを見かけたんだ。後を追ってみたら…」
シドはテーブルに村周辺の地図を広げる。そして、森の中のある箇所を指差した。
「ここだ。あいつらはここに潜伏してる」
冒険者達の目が一斉に地図に注がれた。
「なるほど。良く見つけたな…」
「どうやって攻め込む?」
「まず先に誰か偵察に行った方がいいのでは?」
「時間帯は…」
彼らがそう話し合っているところに、シドが口を挟んだ。
「待ってくれ。それだけじゃないんだ。奴らの話し声を少しだけ盗み聞きする事が出来たんだ。奴らは昼頃の13時に就寝する者が多いらしい。だからその時間に攻め込めば寝込みを襲える」
さらにシドはペンを取り出して地図に線を引いた。
「俺はここの村に長く住んでいるからな、この辺りの地形は熟知している。このルートで行けば、奴らに気付かれにくくアジトに接近する事が出来る」
冒険者達はシドの助言を頼りにしばらく話合った後、明日にアジトへ攻め込む事が決定された。
翌日の昼。ウォリーやダーシャを含める冒険者達はアジトを目指して森の中を進んでいた。
事前に向かわせた偵察からの情報では、確かにそこに盗賊達が居るという事で間違いないようだった。
アジトが近づいてくるにつれて、冒険者達の足はゆっくりになる。
こちらの気配に気付かれないように、足音を立てずに慎重に前へ進んでいく。
彼らの手にはシドが進行ルートを書いた地図が握られている。そのルート通り、正確に彼らは進んでいった。
ヴォン…
突然妙な音が鳴ったかと思うと、冒険者達の足元に巨大な魔法陣が出現した。彼らがそれに反応する間もなく、その場の全員の身体に強烈な電流が走った。
バタバタとその場に倒れていく冒険者達…
それを囲うように周囲から盗賊達が集まってきた。
ウォリーが目を覚ますと、冷たい岩に囲まれた場所に居た。どうやら洞窟の中のようだった。
目の前には巨大な鉄格子があり、外に出られないようになっている。見ればダーシャを含め他の冒険者達も一緒に閉じ込められている様だった。
ウォリーは鉄格子の扉を掴んでガシャガシャと強引に揺らしてみる。
「ウォリー、無駄だ。鉄格子に魔術がかけられて強化されている。私達が攻撃しても壊れなかった」
ダーシャが彼の背後から声をかけた。
他の冒険者達もうなだれている。どうやら既にあれこれ手を尽くした後のようだった。
「はははは!実に間抜けな冒険者達だ!」
鉄格子の向こう側から笑い声が聞こえたかと思うと、影の中から盗賊の1人が姿を現した。
「お前らあんな都合の良い情報を鵜呑みにするなんて、どうかしてるぜ」
盗賊はにやにやと冒険者ひとりひとりを見回しながらそう言った。
「どういう事だ?」
ウォリーの問いに、盗賊は大きく溜息を吐いた。
「どうせお前らはここで終わりだから教えてやるよ。あのシドっていう村長がお前らが来る時刻とルートをこっちに流してくれたのさ。お前らはあいつに裏切られたんだよ」
盗賊はそう言い捨てると、高笑いをしながら闇の奥へ消えていった。