第12話 縦書き
アイさんの言う通り、ワードに打ち込んで正解だった。縦書きにできない表記をたくさんしてしまっていることに気づいたのだ。
まず英語。これは確実に縦書きにできない。文章や単語ごと真横に倒すことになる。少しくらいならいいが、あまりたくさんあると読みにくい。カタカナや日本語にできるようなことはなるべく修正してみた。どうしても英語でなければならないところだけ残すと、そんなに気にならなくなった。
これで少しはマシになったが、まだまだある。時刻表記だ。「12:40」だと確実に横に倒すしかない。これも「十二時四十分」と書くことで回避。今度から創作ノートも縦書きで書いた方が良さそうだ。
単位も困った。アラビア数字を漢数字にしたことで単位が浮くという現象が起こった。「二十m」とは流石に書けない。「二十メートル」ならアリだ。「%」も「パーセント」に、「¥」や「$」は「円」と「ドル」に変えざるを得なくなった。
なるほど縦書き、横書きでこんなに違うものなのか。しかし本屋に並んでいる書籍はみんな縦書きだ、恐らく縦書き仕様で書くのが正しいのだろう。
ただ打ち込むだけならノート一冊などあっという間に終わった筈だ。だが、縦書き変換に伴う作業に手間取りすぎて、たかだか三ページに土日をまるまる費やしてしまった。俺の予定では土日で「のんびり」打ち込む予定だったんだ、それがなんてこった、表記法を決めるだけで丸二日もかかるなんて!
泣き言を喚いていても仕方がないので、少しでも効率よく進める方法を考える。まずは表記の統一のために一覧表を作っておこう。
・㎞、m、㎝→キロ、メートル、センチ
・% →パーセント
・¥、$ →円、ドル
・㎏、g →キロ、グラム
こうやっていつでも見えるところに置いて、思いついた時に追加していけばいい。あとは……。
と思ったところにLINEの着信音が響いた。
▷やーくも君♪
▷そろそろ打ち終わった頃だよねっ?
▷ずーっとずーっとLINE我慢してたんだよ?
▷偉いでしょ? 褒めて♡
◀すいません、まだ四ページ目です。
▷え、うそ、なんで? サボってたの?
◀丸二日かけて目一杯頑張りましたよ!
▷ブラインドって言ったじゃん
◀違うんです、打つのは速いんですけど。
▷何が遅いの?
◀縦書きにするといろいろな問題が出てきて、それを統一するのにかなり悩んでしまったんです。
▷?
◀今、アラビア数字を漢数字にしたり、日時表記や単位表記の統一など、いろいろ変換しながら打ち込んでるとこなんで、結構大変なんですよ。
▷ふーん……
◀三ページ打ったところで大体の文字数を計算したんですけど、今現在三万字くらいだと思います。ストーリーの四分の一で三万だから、完結したら十万くらいになると思いますけど。
▷ええっ?
▷あたしのぜーーーんぶ合わせても三千も行かないよ!
▷もう三万も書いてるの?
▷すごい楽しみ~!
◀まあ、今はまだ三ページですから期待しないで待っててください。
▷くふっ、がんばってね! あたしは二話目書いたよっ♪
▷後で送るね!
◀はい、了解です。
▷じゃ、またね、ちゅっ♡
なんでいつも最後に「ちゅっ♡」がいちいち付くんだ……。
アイさんの言う通り、ワードに打ち込んで正解だった。縦書きにできない表記をたくさんしてしまっていることに気づいたのだ。
まず英語。これは確実に縦書きにできない。文章や単語ごと真横に倒すことになる。少しくらいならいいが、あまりたくさんあると読みにくい。カタカナや日本語にできるようなことはなるべく修正してみた。どうしても英語でなければならないところだけ残すと、そんなに気にならなくなった。
これで少しはマシになったが、まだまだある。時刻表記だ。「12:40」だと確実に横に倒すしかない。これも「十二時四十分」と書くことで回避。今度から創作ノートも縦書きで書いた方が良さそうだ。
単位も困った。アラビア数字を漢数字にしたことで単位が浮くという現象が起こった。「二十m」とは流石に書けない。「二十メートル」ならアリだ。「%」も「パーセント」に、「¥」や「$」は「円」と「ドル」に変えざるを得なくなった。
なるほど縦書き、横書きでこんなに違うものなのか。しかし本屋に並んでいる書籍はみんな縦書きだ、恐らく縦書き仕様で書くのが正しいのだろう。
ただ打ち込むだけならノート一冊などあっという間に終わった筈だ。だが、縦書き変換に伴う作業に手間取りすぎて、たかだか三ページに土日をまるまる費やしてしまった。俺の予定では土日で「のんびり」打ち込む予定だったんだ、それがなんてこった、表記法を決めるだけで丸二日もかかるなんて!
泣き言を喚いていても仕方がないので、少しでも効率よく進める方法を考える。まずは表記の統一のために一覧表を作っておこう。
・㎞、m、㎝→キロ、メートル、センチ
・% →パーセント
・¥、$ →円、ドル
・㎏、g →キロ、グラム
こうやっていつでも見えるところに置いて、思いついた時に追加していけばいい。あとは……。
と思ったところにLINEの着信音が響いた。
▷やーくも君♪
▷そろそろ打ち終わった頃だよねっ?
▷ずーっとずーっとLINE我慢してたんだよ?
▷偉いでしょ? 褒めて♡
◀すいません、まだ四ページ目です。
▷え、うそ、なんで? サボってたの?
◀丸二日かけて目一杯頑張りましたよ!
▷ブラインドって言ったじゃん
◀違うんです、打つのは速いんですけど。
▷何が遅いの?
◀縦書きにするといろいろな問題が出てきて、それを統一するのにかなり悩んでしまったんです。
▷?
◀今、アラビア数字を漢数字にしたり、日時表記や単位表記の統一など、いろいろ変換しながら打ち込んでるとこなんで、結構大変なんですよ。
▷ふーん……
◀三ページ打ったところで大体の文字数を計算したんですけど、今現在三万字くらいだと思います。ストーリーの四分の一で三万だから、完結したら十万くらいになると思いますけど。
▷ええっ?
▷あたしのぜーーーんぶ合わせても三千も行かないよ!
▷もう三万も書いてるの?
▷すごい楽しみ~!
◀まあ、今はまだ三ページですから期待しないで待っててください。
▷くふっ、がんばってね! あたしは二話目書いたよっ♪
▷後で送るね!
◀はい、了解です。
▷じゃ、またね、ちゅっ♡
なんでいつも最後に「ちゅっ♡」がいちいち付くんだ……。