「先輩。オーナーって、船の部屋
普通に使ってますよねー。
なんか、意外でしたよ。

さっき、オーナーの頼まれ物
取りに入ったのですけど。
キレーでしたもん。
モンスターVIPじゃないです!」

ハジメのオフィスの スタッフ
シオンと、ヨミは 電気自動車に
乗って、島を走っている。

島で試験的に、導入されている
電気自動車を 港でレンタルして、
2人乗りの 運転席で、シオンが
ハンドルをにぎる。

電気自動車 には、ガラスが
入っていないため、走ると
風が 通りぬけて、オープンカー
さながら、2人は 髪を 靡かせる。

「オーナーの 非常識さは、
ホテルに泊まっている時だけよ。
まあ、1年の半分以上は ホテル
生活だから、もっぱら 非常識な
モンスターVIPさが普通だけど」

次の島に、
クルーズギャラリーは 停泊して、
オーナーである、ハジメは 1人
新しく出来た アート作品を
ヒラヒラと 先に 見に行った。

初めて島に来た シオンとヨミには
ハジメとは 別行動で、
最初に 行くべき 場所 へ行くよう
仰せを つかっている。

今、シオンとヨミは
その 見学予約をされた 場所へ
電気自動車を 走らせているわけで

「それでも、全国をギャラリーで
移動するって言っても、ほとんど
ホテル住まいって、落ち着かない
でしょ?大変ですよねー。」

うっそうとした、
背の 高い草が 密集するように
両側を 囲う道を、
電気自動車を 運転しながら
大声で シオンが 話す。

いつの間にか
アスファルトが なくなっいた。

ガラスが ないから、
風で、声が流れてしまう。

「後輩ちゃんは、知らないのね。
オーナーって、子どもの頃から、
ホテル住まいなのよ。」

ヨミは、風で
眼鏡が とびそう なのか、
波細工の ツルを 押さえている。

「は?!なんですか!それ?
実家がホテルでも、やってると
か?ホテルグループ御曹司?」

電話を 地図案内機能に して、
ハンズフリーにセットをしている

シオンは、チラリと 横目で
その 地図を 確認した。

「違うわね。オーナーは 確か、
お母上と、ホテルを渡り住んでい
たのよ。
常宿は いくつか あった
みたい だけど、家はなかった
みたい、、、、
ほら、神戸のホテルも
その1つだったってことね。」

そろそろ、見えてくるんじゃ
ないかしら?とヨミが
前を 指さして 言う。

さすがに 延々と
山道 みたいな 風景で、
前も 後ろも おんなじ 見えかた。

「なんですか、その規格外?!
やたら VIPな、
家なき子 じゃないですか!」

ガタガタと、
車体が 揺れるような 道。
本当に 道 あってる?

「あの人にとっては、
ホテルって場所が、家なのかもね
だから、取り繕わないとか。」

前方に、何か 看板が
見えた。

「ヨミ先輩!それ以上は 言っちゃ
おしまい じゃ ないですか?

ホテルメイドに、まるで
甘えてる なんて、、、?!」

1度 電気自動車を、
シオンは 止めて、看板を 見る。

「そんな、悲しい 事。
言えや、しないわよ。本人には」

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シオンと、ヨミは
道が 間違いなく 合っている事を
確信して、

アクセルを踏み込んだ。