私には犬猿の仲の同期がいる。
 初めて出会ったときから、お互いに反りが合わなかった。

 とにかく要領がよい奴だった。
 面倒な仕事は他のものに押し付けるくせに、美味しいところは独り占め。
 苦労してほとんど私がやった仕事なのに、手柄はいつの間にかその同期のものになっている。そんなことも再三で、何度悔しい思いをしたか分からない。

 ところが、私は思わぬ形で同期の訃報を知ることになる。

「犬さん、大変だ!」
「どうしたんだい、雉さん」
「猿さんが蟹にやられた!」
「何だって?」
「猿さんが柿を独り占めした挙句、蟹さんのお母さんを殺してしまったらしい。その敵討ちで今度は猿さんが……」

 何とも、あの同期らしい最期だ。
 憎らしい顔を思い浮かべながら、私は雉をともなって上司たる桃太郎さんの元へと急いだ。