「ええ。今担当のものと代わりますので少々お待ちください」
同年代より少し上か、女性の声がした。私は委縮して緊張する。

「はい。電話を替わりました、榎本と言います。応募の方ですね。まずは面接をさせて下さい。今週中、都合の良い日はありますか?」
平日は仕事がある。土日なら大丈夫か。いや、平日でも何とか休もう。

「何時でも大丈夫です」
「お仕事とかされていないのですか?」
「職場には休暇を貰います」
「そうですか。では明後日の金曜日なんか如何でしょう?」
「はい」
「それでは2時に待っています。都合が悪くなったら連絡をくださいね。それと簡単な履歴書と職務経歴書を持って来て下さい」

「解りました」
私は電話を切ると、ホッと息をする。電話の感じ、担当の榎本さんは優しそうな男性であった。心配していた声もちゃんとでた。風邪気味なのかな。そんな事より面接頑張ろう。

私は安心してお昼を食べに食堂に行った。武田さんが後からやって来る。今日も疲れたように肩を叩いている。私は機嫌よく
「武田さん。今、昨日の中古車屋さんに電話してみたの」と言った。

「もうかけたの?どうだった?」
武田さんが回りを気にして声を小さくして聞いてきた。
「金曜日に面接してくれるって」
「そうなの。良かったね。受かるといいね」
武田さんも嬉しそうだ。
電話をかけてみて良かった。