「家の場所はここから近いみたいですが、通勤は何で来ますか？」
「自転車で来ます」

「車は持っていないのかな？」
「はい」
「そうですか。車の運転は出来ますか？」
「はい。１８歳の時に免許を取得して、それから数年ですが車持っていたので乗っていました」
「今は運転をして無いのですね」

そうか。車屋さんだから、車を持っていたり、運転が得意な方が有利なのかな。私は面接に受かりたいあまりに「車が大好きなんです」と言ってしまった。表現が少しオーバーである。

「そうですか。それで今、車の部品の検査をしているのですか？」
「はい。車に関連した職業に就きたくて」
これも少し嘘をついた。私は罪悪感を覚える。

「成程。それは丁度いいですね。ですが今すぐ採用と言う訳にもいかないので結果は来週でもいいですか？」
「はい。宜しくお願い致します」

私は頭を下げると事務所を出た。上手くいっただろうか？最初はダメかと思ったが最後の方は手ごたえがあった。少しオーバーに言ってしまったが受かればいいな。面接に行った事、来週武田さんに報告しよう。教えて貰ったのでお礼を言わなければならない。私は少しだが浮かれてしまった。