あれから数十日が過ぎた。

 けれどまだまだ寒さは続き、今日も街は雪景色。

 短刀はまだ色は変わらずそのままの色を保っていた。ただ、少しだけ明るくなっているような気もする。

 今日もいつもの通りカフェでハーブティーを淹れていた。

「あ……」

「あなたの、ハーブティーを飲みに来たのよ」

 最後に会った時よりも少しだけ、温柔な雰囲気がミコトさんを包んでいる。

 当たり前だけど、シドウさんに叩かれた頬にももう赤みはない。

「なにがいいですか?」

「なにがおすすめなの? 私、ハーブティーってよく分からないんだけど」

「それでしたら、ローズヒップなんてどうですか? 割と飲みやすいですし、女性に人気なんですよ」

「じゃあ、それお願い」

「はい」

 ミコトさんが、私の淹れたハーブティーを飲んでくれる日があるなんてと、感涙してしまいそう。

 目が合うと逸らされてしまうけれど、そこから冷たさは感じない。