「真由、暫くカフェの仕事休んでもいいぞ」

「いえ、カフェの仕事はやりたいです。大げさかもしれないですけど、今の私にとって1番楽しいのがカフェでの仕事なんです。ハーブティや料理を食べてくださった方の笑顔を見ると、心が満たされるから」

「……そうか、分かった」

 それに、闇雲に種を探しても意味がないって言っていたし、今はシドウさんのハーブの件も一応解決したから、半分くらい心の重りが取れたような気がするの。

「真由さん、僕も一緒に手がかり探すから」

 キキョウさんは、私の両手を自分の手でふんわりと包み込む。まるで、甘いわたあめのよう。

 あまりにも柔らかくて、優しくて、それまで見れていたキキョウさんの目が見られなくなる。

「あ、ありがとうございます」

「これで一安心ね。キキョウくんも、ついてることだし」

「そうだねえ。うん、青春だねえ」

「ん? 青春?」

 ヤクモさんだけは鈍感なようで、1人頭の上にクエスチョンマークを浮かべていた。

「み、皆さん」

「じゃあ、そろそろお暇しようかしら」

 せめてもと、玄関まで皆を見送った。