今日も雨。この世界にも梅雨があるようだ。
 窓からはザァーザァーと、雨音が聞こえる。
 雨は嫌いではないけれど、連日になると、少し憂鬱な気分になる。
 六歳になり始まった父上指導の剣術の稽古も雨の日はない。
 もちろん、危険性が高くなるため、狩りや冒険は休みだ。
 屋敷内でゆっくりまったり過ごす……。
 書庫に籠り、読書を楽しむのも然り、急遽開催されるアンナの鬼マナー教室もあったりするのだが、今日は、自室にて砂と格闘していた。

「だめだ。均等に魔力が入っていない。失敗……」

 ゴロッと、濁った玉が机に転がる。
 ここ最近、時間が空けば、ガラス石作りに奮闘していた。
 以前マリー姉様に譲ってもらった『ガラス石』を解析したところ、材料は、魔力砂のみだった。
 魔力砂とは、魔力が濃い地域に発生する砂で、砂の成分に魔力が混ざり込んでいる。
 質の良い物は、高値で取引される素材である。
 特に『沈黙の森』の奥地にある魔力砂は、高級で魔力砂S+のランクである。
 素材にもランクがあり、SS、S、A、B、C、D、E、F の八段階で表し、同じAでも五段階あり、A--、A-、A、A+、A++ となる。
 その中でも、魔力砂S+は、ガラス石の材料に適している。手元にあるリンネ製のガラス石の材料も、魔力砂S+が使用されていた。

 ただハクと出会って以来、『沈黙の森』へは行っていない。
 なんとなくだが、今は行ってはいけない気がするのだ。
 俺は直感を信じるタイプだ。
 ハクにもそれを伝えると「行かないほうがいい」と、同意してくれた。
 俺と同じく、あまり良い感じがしないとのことだった。


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 精霊の森の深奥の砂も使えます。

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 精霊の森は、場所がわからないので、いいや。


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 場所検索は可能です。

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 関わりたくないので、調べる必要はないです。


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 非常に残念です。

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 ヘルプ機能との会話を思い出す。
 ことあるごとに、精霊の森を推すんだよね。
 ゴリゴリ推している様子から、ヘルプ機能は、精霊の森に行って欲しいのだと思う。
 ヘルプ機能には、大変お世話になっているので、希望を汲んであげたいのは山々だが、今抱え込むには大き過ぎる問題なのだ。
 だから当分の間、待ってください。

 ガラス石だが、その作製方法は、魔力砂に均等に魔力を注ぎ、透明な玉を形成していけば完成だ。
 透明度が高ければ高いほど、ガラス石の品質が高い。
 説明すると簡単なのだが、この均等が難しいのだ。