ハクとの契約は、血契約だった。
 血契約とは、古の魔法の一種で、上級魔獣や聖獣などに限定された特殊魔法だそうだ。
 契約者の血を体内に入れ、絆を繋ぎ、支配を受けるとのことだ。生涯に一度しか使えない魔法でもある。
 この情報は、ヘルプ機能からです。


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 最近出番がなく、ご主人様に嫌われたかと思いました。

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 えー……。拗ねてました。
 出番って、いや鑑定はよく使っていましたが……。


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 そうではなく、ご主人様との会話です。

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 あっ、掘り下げのことですね。
 いやー……。最近は、鑑定の情報だけで満足していた。
 単に掘り下げるほど、興味を引くものがなかっただけなのだが、これからは定期的に掘り下げることにする。
 ヘルプ機能のご機嫌をそこねることだけはしたくないしね。まじ生命線だから。
 じつは、ハクにもヘルプ機能の声が聞こえている。
 魔契約したので、聞こえるようにしたとのことだ。
 さすがヘルプ機能、有能だ。そしてその能力が、摩訶不思議すぎる。
 もう、突っ込まないけどね。

「ガウー……?(なにこの声……?)」
「俺のスキルのヘルプ機能」
「ガウッ?(スキル。ヘルプキノウ?)」


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 はい。ヘルプ機能です。よろしくお願いします、ハク!

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「ガウッ!(よろしく!)」

 はじめは戸惑っていたハクだが、すんなりヘルプ機能を受け入れた。
 順応はやくねーー。もう少し動揺してもよくねーー。
 頭に知らない声が響くんだよ。会話してくるんだよ。俺ならプチパニックだ。
 ってか、ヘルプ機能、普通によろしくしていますよ。


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 待っていて下さい。あと少し魔力値が上がれば、自由にできます。

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 あっ! なんだか変な宣言をしている。しているよーー。
 俺は、なにも聞こえていない。聞こえていないからね。

 ヘルプ機能が暴走する前に会話を強制的に終え、部屋で寛ぐハクと向き合う。
 もちろん、毛をモフ……撫でることは忘れない。

「古の契約か」
「ガウッ!(すごいだろ!)」
「うん。すごいとは思うけど、もっと慎重に契約するべきじゃなかったのかな?」
「ガウッ。ガウガウッ(ジークベルトがいい。だからいいんだ)」
「生涯一度の契約に俺を選んでくれて、ありがとう」
「ガゥ(うん)」

 ゴロゴロと喉を鳴らしながら、返事をするハク。
 よほど毛を撫でられるのが気持ちいいのか、尻尾がパタンパタンと上機嫌に揺れている。
 ほんと、かわいいな。あぁ、幸せだ。
 この艶、毛の滑らかさ、文句のつけどころがない。
 それにしても、こんなにかわいい子を傷つけた冒険者許すまじ。