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 気がつくと、フワフワとした暖かい物の上に寝かされていた。
 ベッドかな? 周りの気配を窺うが、誰もいないようだ。
 前後の記憶が曖昧だ。
 えーっと、鑑定眼を実行して、意識が落ちた……?
 赤ん坊の体力を考えれば、疲れて寝てしまったのかもしれない。
 それにしては、突然すぎるような気もするが、そこを掘り下げても、答えはでない。精神年齢が高い赤ん坊なんて、前代未聞だもんなぁ。
 それより、少女の鑑定は、失敗したのか?
 んーー……。理論的に考えれば、成功するはずだったんだが、情報を確認した記憶がないことから、失敗したのだろう。
 鑑定眼は名の通り、眼で対象物を認識して実行するものだと考えている。だけど、俺は赤ん坊で、視力が発達しておらず、対象物を捉えることができない。複数人いる状況では、対象を特定できずに失敗するか、その場全員の情報が取得できると、予想した。結果、失敗したことになる。
 んーーーー。わからないなぁ……。
 確かに二つの影を認識したが、マリアンネを意識して、鑑定眼を実行した。
 アンナと同じく、個人を特定したので、失敗するはずはないのだが、この理論に自信があったんだけどなぁ。やはり視力が発達していないことが、致命的だったのかと思う。
 そうなると、次は俺自身だ。能力の把握は不可欠だ。
 自身に向けて『鑑定眼』と念じる。


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 ジークベルト・フォン・アーベル 男 0才
 種族:人間
 職業:侯爵家四男
 Lv:1
 HP:8/10
 MP:50/100
 魔力:100
 攻撃:10
 防御:10
 敏捷:10
 運:200
 魔属性:全属性

 身体スキル:毒耐性Lv5・麻痺耐性Lv4・状態異常耐性Lv3・闇耐性Lv3・呪耐性Lv7
 上級スキル:鑑定眼Lv-
 固有スキル:言語完全理解Lv-・成長促進Lv-
 加護:転生祝福
 称号:幸運者

 スキルポイント:1000
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 さてさて、色々と突っ込みたいステータス内容だ。
 時間はたっぷりあるので、ゆっくりじっくり確認しますかね。
 俺の今世の名前は『ジークベルト・フォン・アーベル』元日本人からすると、横文字にかなりの違和感があるが、まぁこれもいずれ慣れるだろう。
 侯爵家の四男か。俺の知識に間違いがなければ、侯爵の地位はかなり高いはずだ。
 マリアンネが『姉』と名乗っていたから、今把握できるだけで、五人兄姉だ。
 身の回りの物の感触からして、不自由なく養えるほどの裕福さとみた。

 次はステータス値の確認。
 魔力とMPが非常に高いのは、特賞効果の全属性適合のためだと想定。
 運値は、称号の幸運者の影響を受けているのだろう。
 その他は、アンナと比較しても低いから平均的なのだろうか?
 いや、Lv1だと考えれば、この数値は高い。
 初期値ボーナスが、あるかもしれないなぁ。まぁ、いっか。いまそれを気にしても何もできないもんなぁ。そこはおいおいでいいや。
 HPは、体力が消耗して下がっているようだ。
 自然と下がるのか、攻撃されないと数値に変化がないと勘違いしていた。
 完全なるゲーム脳だ。ここはゲームではなく、現実世界だと、頭では理解しているつもりだったが、スキルやステータスなどのファンタジー要素に、どうも浮きだっている。
 気持ちを引き締めなおさないと。ん? MPが半分なのはなぜだ。
 考えられる原因は、鑑定眼だが………。
 んん? なんだこれ?


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 鑑定眼:鑑定の上位スキル。鑑定Lv10で取得可能。MP消費50。

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 突然、頭に甲高い音が鳴り響き、鑑定眼の詳細が表示される。
 びっくりした! ほぼ身動きがとれない身体だが、一瞬ケツが浮いたぞ。
 はい。鑑定眼の超便利機能発見! 知りたい情報を選択すると詳細な内容がわかるようだ。
 この情報から、鑑定眼のMP消費は50であることが判明。MP消費量が多いか少ないかは、下位スキルの鑑定を使用して比べてみよう。
 下位スキル使えるよね?


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 上位スキルの取得可能条件である、下位スキルは使用可能。

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「ピコ」との電子音とともに、下位スキルの情報が表示される。
 おぉーー! ヘルプ機能発見!
 鑑定眼、かなりの便利スキルだ。情報収集の救世主ともいえる。
 これで、動けない赤ん坊の間も、時間を有効活用できるし、有難い機能だ。
 鑑定眼を二回使用すると、ちょうどMP0になる。毎日二回が使用限度かな。いや、MP回復も考えれば、三回は使えるな。ところでMP0になるとどうなるんだ。


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 MP:精神力、魔法・スキル使用時に必要となる。0になると気絶する。

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 はっははは。さっき気絶していたのか……。
 鑑定失敗とかの問題ではなかった。これは気をつけて、鑑定眼を使用しないといけない。度々気絶していたら、身体が保たない。