『まずは、魔力を感じましょう。身体の奥にある魔力を体内に循環するイメージをします。身体が熱くなれば、上手く循環ができています。それが魔力です。この循環を魔力循環といいます。魔力循環は、魔法を使用する上で必要です。魔法を初期で失敗する理由は、魔力循環ができていないのです。魔力循環できるよう繰り返し練習しましょう』

 本の通りに意識してみる。
 身体がポカポカと温かくなってきた。
 これが魔力循環。この感覚を忘れないようにしよう。

『魔力循環が上手くできるようになれば、次は魔法です。魔法はイメージです。イメージが明確であればあるほど魔法の精度は上がります』

 指先に光る玉をイメージし『光明』と念じる。
 ポワーンと小さな玉が指先にでき消える。
 ありゃ、簡単に出来てしまった。
 初めての魔法なのに、感動がまったくない。
 一瞬過ぎて魔法を使った実感がないんだ。

 気を取り直して、次は、目の前に光る玉を複数イメージし『光明』と念じる。
 ポワン、ポワン、ポワンと目の前に光る玉が現れては消える。
 おぉー。これはなかなか。ということは……これもありか。
 前世で見た蛍の幻想的な光景を鮮明にイメージし『光明』と念じる。
 ポン、ポン、ポン、ポンと眼前に光が広がる。
 やはりそうか! 暗闇なら完全再現ができていたな。

 この世界の魔法は、イメージが全てだと言っても過言ではない。
 もちろん魔力も重要だが、同じ魔法名でもイメージによって効果が変わる。
 これは前世の知識がある俺にはかなり有利な条件だ。
 しかも、明確なイメージができるため、精度もかなり高い。

 よし! 次は魔力循環を高く意識して、強い光をイメージし『光明』と念じる。
 ピカッと、白い強い光が部屋全体を一瞬覆う。
 まぶしっ。目がチカチカする。

「「「ジークベルト様! ご無事ですか!」」」

 侍女たちが慌てて、部屋に入ってくる。
 やべぇー。やりすぎた。魔法使ったのがバレる?!
 ここはなんとかしなければ……。
 頭の中をいろんな不安がかけめぐる。やばい泣きそうだ。
 いや、このまま泣いてしまおう。

「うっうぅ、うぎゃあぁーー」
「びっくりさせてしまいましたね。申し訳ございません」

 泣いている俺を抱き上げ、律儀に謝罪する侍女。
 みんな、ごめんねと、心の中で反省しつつ、侍女たちの様子を窺う。

「どこも異常はありません」
「こちらも異常はありません」
「おかしいわね。部屋が一瞬光ったように見えたのだけど」
「「私も見ました」」
「もしかすると外かしら、マリアンネ様が光魔法の修練をされていたわね」
「はい。本日はお庭で修練されています」

 侍女たちは、一通り部屋を調べ、異常がないと確認すると、光魔法の修練をしていたマリアンネの魔法であろうと結論づけた。
 姉さん、ナイスアシストです。
 侍女たちは、泣き寝入りした俺をベッドに戻し、部屋を出て行く。

 あぶねー。調子に乗りました。
 魔法の威力は、スキルLvと魔力だ。魔力循環を高めることで、イメージした光より、より強い光を発するのではないかと考えた。
 読みは当たったが、俺の魔力を侮っていた。
 純粋に魔力だけで、あれだけの光を発するとは、予想していなかった。
 これは魔力の制御も修練しなければならないなっ。嬉しい課題ができた。
 次は魔法の持続だが、これも魔力循環を高めることで継続することがわかった。
 持続時間の制御も、魔力制御ができるようになれば解決だ。

 一応『癒し』も試してみる。
 小さな柔らかい光が身体に降りそそぐと、少しだけ疲労がとれたような感じがした。
 おぉー。これも成功した。でも効果はわかりにくいな。
 いざ必要な時に失敗しないよう、また精度を上げるためにも、最低一日一回は『癒し』を使うべきと判断する。
 あれよこれよと、試しているうちに、その晩に光魔法Lv1を習得した。
 始めたら止まらないんですよ。