あれから数ヶ月、魔属性のみ公表したが、魔術省は動かなかった。

 父と叔父の行動は早かった。
『報告魔法』で、リンネ訪問中の祖父へ緊急連絡をした。
 それを受けた祖父は『移動石』で極秘帰国。
 今後の対応を話し合い、祖父は『移動石』で、またリンネへと戻っていった。
 俺が寝ていた僅か数時間で、すべての話がまとまっていた。

 話の中身は、何も知りません。情報収集なんて馬鹿なまねは、もっての外です。
 この件については当事者だが、俺は身動きのできない赤ん坊だし、寝ていたので何も知らないし、聞いていない。
 世の中、知らないほうがいいことはあると思うんだ。
 ねっ、ヘルプ機能!


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 はい。ご主人様は何も調べていません。
 私も、何も調べておりません。
 アーベル家が、恐ろしいなんて思ってもおりません。
 今後も、誠心誠意ご主人様にお仕え致す所存です。

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 優秀なヘルプ機能がここまで断言しているんだ。
 俺たちは、何も知らない。それでいい。
 ただ今後あの三人を敵に回すことは、絶対にないとだけ宣言しておく。
 また魔術省には、アーベル家から相当な圧力が掛かったとだけ報告しておこう。

 気になる『移動石』とは使い捨ての魔道具だ。
『移動石』の中には、特定の国や地域への『移動魔法』が刻まれており、使用者のイメージする場所に転移できる。
 金貨10枚~1000枚まで、移動距離と人数で、値段が上がっていく。

 余談だが、金貨1枚で日本の一万円ぐらいだ。
 庶民が一ヶ月生活するには、平均金貨6枚とのことだ。
 これだけの情報では、貨幣価値はわからないし、我が家にある物では比較にならない。
 俺が愛用している子供用ベッドは、ほぼ金貨100枚である。
 百万円のベッドに寝ていまーす。侯爵家はお金持ちなんですよ。


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 世界に流通している貨幣は、以下に統一されている。

 光金貨:白金貨100枚
 白金貨:大金貨100枚
 大金貨:金貨100枚
 金貨:銀貨10枚
 銀貨:銅貨10枚
 銅貨:鉄貨10枚
 鉄貨

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 話を戻すが『移動石』の数は、極端に少ない。そもそも一般に流通されていないのだ。
 理由は、魔道具に刻まれている『移動魔法』だ。
 移動の魔法は、国家最高レベルの魔法であり、各国で使える術者は数人である。
 しかも、術者がその場所を訪れていない場合『移動魔法』は使えない。
 また術者の魔力により、移動距離・人数が決まるため、魔道具作製も難易度が上がるのだ。

 祖父が『移動石』を所持していたのは、『魔法都市国家リンネ』に滞在していたことが大きい。
 リンネは最初に『移動石』を作製した国である。
 そのため、在庫数も多く、貴族や商人などは購入ができるのだ。

 まぁ俺は『移動』の魔法を取得する予定です。
 無属性の空間魔法Lv6を取得すれば、使用できるとの情報だ。
 ただ叔父が、現時点で『移動』魔法が使えないことに少しばかり不安を感じる。
 他のスキル取得より、習得難易度が高いのは想像がつくが、他に何か条件があるのかもしれない。