「さて、でもってこの様子は絶賛校内放送中なんで、明日から破局は周知の事実でっす。お疲れさまでした」

「な、っんてことしてくれたんだよ、これじゃまるで!」

「僕が悪者みたい? でも別れたかったんでしょ? せっかくならみんなが王子と姫って別れたらしいよって知ってたほうがいいかなって思って」

「余計なっ、ことを……!」

 どうせあと1年もしたら卒業なんだからよかったじゃん、と本気で思うわけだけどこの人にとってはそうではないらしい。

 別に内申点に響くようなことじゃない。この間のストーカーくんみたいなガチの犯罪だと進学は絶望的だったかもしれないけど今回のは単なる事実ていどで処理できる。

 落合絵里奈は相手にしてなかったからこれは浮気ですらない。なにが問題なのか俺にはさっぱりわからない。

「はい、1名様お帰りでーす。ご利用ありがとうございました!」

「ふざけるなっ、ふざけるなよ目黒おまえ!」

「防音とはいえ、声はもう少し抑えたほうがいい」

 圭介がずるずると王子を引きずって教室を出ていく。
 しーんとした教室で最初に口を開いたのは高砂恵茉だった。でかいため息だな。幸せが逃げるぞ。

「迷惑かけてごめんなさいね」

「いいよいいよ、俺がこういうことしてんの知ってんじゃん」

「まあ、知ってはいるけど」

「いやぁ、でもなんか、別れられてよかった? ですね、恵茉さん」

「そうね、カナメくんってああいう一面もあったのね」

 1年付き合ったけど知らなかった、と彼女はため息をついた。
 1年我慢してた王子も偉いと思うけどオチがこれなのでいまいち格好つかなくてちょっとかわいそうだ。

 決して俺のせいではない。

「目黒先輩も、時間通り終わらせてくれてありがとうございます!」

「引き留めてごめんなあ、妹の迎えだっけ?」

「そうなんです、今日お母さん遅くて。じゃあお二人とも、さようなら!」

「気を付けてね、絵里奈」

 にぱーっと笑って落合絵里奈も教室を出ていく。
 入れ替わるように圭介が戻ってきてまたドアを閉めた。