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澄恵が仕事に戻ってからも2人は1時間ほど給湯室にこもっていた。


なにを話しているのか、想像しなくてもわかる。


ようやく2人が戻ってきたとき、戸田が立ちあがった。


「みなさん、ちょっと聞いてください」


戸田の声はよく通る。


仕事をしていた社員たちは全員手を休め、戸田に注目した。


「今回、安田くんの企画が進められることになりました」


戸田の横には安田が立っていて、少し照れたように笑っている。


澄恵は目を大きく見開いて口パクで「すごい!」と、言ってしまった。


安田が遅くまで残業していたことを知っているので、心から嬉しいと感じた。


「そこで、同じ安田くんのお手伝いをしてくれるメンバーを2人募りたいと思います」


戸田の言葉に美穂と文音が視線を交わしたのがわかった。


(あ、2人とも立候補するつもりだ)


澄恵はそう思って2人を見つめたが、誰とも視線はぶつからなかった。


あえて澄恵の方を見ないようにしているのだ。