安田が予約してくれたのは、澄恵が行き損ねたフレンチレストランだった。


おしゃれな雰囲気とは裏腹に、その値段はリーズナブルで3000円でおつりがくるものだった。


そのため店内は満席。


若いカップルや仕事帰りのOLでひしめきあっていた。


「すごい人気店だな」


窓辺の席へ案内されて、安田がキョロキョロと店内を見回す。


「ですよね! ここってなかなか予約も取れなくて、食べられないんですよ!」


澄恵はつい興奮して言う。


「そうだったんだね。じゃあ今日は運が良かったみたいだ。俺が電話を入れたとき、ちょうど予約がキャンセルになったみたいなんだ」


安田の言葉に澄恵はうんうんと何度も頷く。