なにをどう失敗したのかわからないが、普段から謝るクセがついているため勢いで謝罪する。


社員たちが自分を見ているのがわかる。


久美が小さな声で笑っている。


美穂と文音が呆れたような視線を向けている。


(あぁ……どうして私ってこうなんだろう)


澄恵がドロドロとした気分で落ち込みそうになった、その時だった。


「いや、この書類すごく見やすいよ」


安田の言葉に澄恵は驚いて顔をあげた。


目の前には笑顔を浮かべる安田が立っている。


社内の空気が一瞬で和んだものに変化した。