(あ、これはまずいかも)


澄恵がそう思っても、もう遅い。


2人はツカツカと久美に近づいた。


「福森先輩、ちょっとお話があります」


美穂が久美を睨みつけて言う。


「ちょっとなによぅ。私今、安田くんに仕事教えてもらってるんだからぁ」


頬をふくらませて2人を睨みつける久美。


しかし安田の前だからそれすらブリっ子だ。


「その仕事なら私たちが教えてあげます。先輩よりも仕事できますから」


ピシャリと言う美穂に、さすがに久美もたじろいだ。


助けを求めるような視線を安田へ向けるが、仕事熱心な安田はすでに自分の業務へ戻っていた。


仕方なく久美は2人へ向き直る。


安田が見ていないとわかったからか、腕を組んで顎を上げ、2人を見下すような体制をとった。


「私だってね、好きで仕事を教えてもらってるわけじゃないのよぅ」


「は……?」


キョトンとした表情で聞き返したのは文音。


「このくらいの仕事、私ができないわけないでしょう?」


「で、でも今安田くんに質問してたじゃないですか!」


美穂が食って掛かる。