「わ、私がやるよ?」


咄嗟にそう言うが美穂は笑顔を浮かべた。


「なに言ってるの、昨日澄恵に1人で残業させちゃったんだから、今日は早く帰りなよ」


ポンッと澄恵の背中を叩いて言う美穂。


しかし美穂も文音も仕事そっちのけで安田に話かけている。


普段は簡単に終わらせてしまう作業なのにわざとわからないフリをしているのだ。


澄恵はまたモヤモヤとした気分を抱えたまま、1人で会社を後にしたのだった。