明らかにこれから病院へお見舞いへ行く。


という格好ではなかった。


「どのくらい悪いんですか?」


澄恵は給湯室での会話を思い出して、久美にそう聞いてみた。


「う~んそうねぇ? 全治3カ月くらいかしらぁ? 今は私しかおばあちゃんのお様子を見に行くことができないからぁ毎日でも行ってあげたいのよぅ」


久美の言葉に澄恵は今井へと視線を向けた。


すでに帰り仕度を終えている今井は澄恵と視線がぶつかりそうになった瞬間、目をそらせた。


きっと、今日もこれから久美と密会するのだろう。


「ねぇ、お願できるぅ?」


久美はチラチラと今井の方を気にしている。


(2人とも、これからどこへ行くんですか?)


なんて質問ができれば苦労していない。


久美から目をつけられることだってなかっただろう。