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安田の行きつけだという居酒屋はとても繁盛していた。


仕事帰りの男性客が多いが、出される料理はどれも絶品だ。


「このボンジリが絶品なんだよ、食べてみて」


「はい」


串を一本口に入れ、肉を噛むとジュワッと脂分が広がる。


「うわっ! おいしいですね!」


「だろ? ボンジリは脂分が多いから、口の中でとろけるんだ」


普段居酒屋で食事をしない澄恵向けに、安田は色々な部位を注文してくれる。


鳥の心臓部分のハツ。


レバーに砂肝に白子。


どれも絶品だ。


「フレンチなんかよりずっと美味しい……」


「ん? フレンチ?」


思わず呟いた言葉に、ビールを飲む手を止めて安田が問いかけてくる。


「な、なんでもないです」


澄恵はすぐに左右に首を振った。