夜道を泣き喚きながら走っていくと、道沿いの家から次次にのっぺらぼうの女が出てくる。
私は「どうか命だけは助けてください」と祈りながら、必死に走り続けた。
そうやって暫く走っていると、右手の山の麓にエリの後ろ姿が小さくぼんやりと見えたので、急いで追いつこうとするが、履いていた下駄の鼻緒が切れて上手く走れない。邪魔くさくなって裸足になって走ろうとすると、畦道の上に無数に這っている蛭を踏む足がぐにゃりと滑り上手く走れない。そこで立ち止まっていると蛭が足の上を這ってくる。瞬く間に無数の蛭が私の両足に取り付いて血を吸っている。必死で手で払い除けるも次から次に蛭が足の上を這い上がってくる。
仕方がないので私は蛭を足に付けたままエリのところに走って行った。
やっとエリに追いつき、肩に手をかけ「たたたたたたたたたすけててくくくくくれーーーーーー」と言うと、振り向いたエリの顔中に蛭が吸い付いていた。