エリがいなくなると、又さっきの恐怖心が蘇り、慌てて走って帰るもいつもの場所に家がない。気が狂った様にそこら中を探し回るも家らしきものが見当たらない。これはおかしい。何かが狂っている。私はそう思うと、少しもじっとしておれずに、無我夢中で隣の親戚の家に駆け込むが人の居る気配がまるでしない。
私は大きな声で「助けてぇー、助けてぇー」と何度も叫ぶも、森閑として反応がない。暗闇の中は深海の底の様に静かで不気味だ。
私が泣きそうな顔で玄関口に佇んでいると暗闇の向こうの奥の襖が開き、そこから父親と隣のおばさんが出てきた。おばさんの顔がのっぺらぼうの女に見えて、私は叫び声を上げてそこから逃げ出した。